東京地方裁判所 昭和44年(むのイ)1013号 決定 1969年5月30日
被告人 古川一之
決 定
(住居、被告人氏名略)
右被告人に対する兇器準備集合、建造物侵入(不退去)、公務執行妨害被告事件(原裁判時は、被疑事件)について、昭和四四年一月二九日東京地方裁判所裁判官がした勾留期間延長の裁判に対し、同年五月二八日被告人から準抗告の申立があつたので、当裁判所は次のとおり決定する。
主文
本件準抗告を棄却する。
理由
一、本件準抗告申立の趣旨および理由の要旨は、「被告人は、犯行を現認した警察官により現行犯人として逮捕されており、その時点で捜査はほぼ終了しているはずであるから、勾留延長のやむを得ない事由はなく、また、罪証隠滅のおそれはないし、住居不定でもなければ逃亡のおそれもないから、原裁判を取り消したうえ、本件勾留期間延長請求を却下する裁判を求める」というのである。
二、関係記録を精査すると、原裁判当時、取調未了の関係者が多数あり、本件事案の規模、特質、態様等を考慮してやむを得ない事由があると認め、被告人に対する勾留の期間を一〇日間延長した原裁判官の判断は相当であり、その他これをくつがえさなければならないような事由はない。
(なお、被告人に対しては、本件兇器準備集合、建造物侵入((不退去))、公務執行妨害の各事実について、勾留のまま公訴が提起され、その後二回にわたり右勾留を更新する裁判を経ているが((ただしまだ第一回の公判期日は開かれていない))、このような場合でも、勾留期間延長の裁判自体に対する準抗告の申立は、適法というべきである。)
三、そこで、本件準抗告は理由がないものとして、刑訴四三二条、四二六条一項により、これを棄却することにする。